気仙沼市は、宮城県の最北端、
岩手県との県境に位置し、リアス式海岸で有名な
三陸海岸に面した日本有数の港町。
寒流と暖流が交わる三陸沖を目の前に、
古くから沖合漁業や遠洋漁業の拠点として
栄えてきました。

5年の時を経て、2016年に
本社屋を同じ地に再建、
製造場は廃校となった小学校を改装し、
新たな製造場として稼働しています。

角星の酒は端麗さの中にも旨味を感じる酒質。港町、気仙沼の食文化に寄り添い、カツオ、サメ、メカジキ、そして三陸の海藻、カキ、ホヤなどと合う味わいを追求してきました。
角星の専務、斉藤大介さんは「気仙沼の新鮮な魚介類の持ち味を邪魔することなく、最初の一杯から最後の一滴まで飲み飽きることがない酒を目指している」と語り、数ある角星の日本酒の中から「水鳥記」を勧めてくださいました。

「水鳥記」の命名は、漢字「酒」の字に由来します。「酒」の左側、三水辺を「水」、右側の酉を「鳥」と表し、酒の物語を「記」していきたいという造り手の意思が込められた銘柄です。
角星の酒は全体的に淡麗旨口ですが、水鳥記は角星の酒の中でも旨口の純米酒。酒造米と酵母にこだわった、後味がキリッとした飲み飽きない酒です。

酒を愉しむときに欠かせないのが「肴（さかな）」。江戸時代以降、肴として「魚」が食べられるようになると、魚（うお）のことも、「さかな」と呼ぶようになったそうです。四方を海に囲まれた日本では、豊かな魚食文化が育まれてきましたが、紀文が手掛ける「練り物」もそのひとつ。
練り物作りに熟練した紀文の職人が気仙沼ならではの食材を生かし、今までになかった日本酒に合う新たな「肴」作りに挑戦しました。

珍味として重宝されるホヤ。気仙沼ではそんなホヤの養殖が盛んです。ホヤは貝ではなく、脊索動物の一種。でこぼこのある形状から「海のパイナップル」ともいわれています。ホヤは味の5要素である甘味・塩味・酸味・苦味・旨味を一度に感じることができる珍しい食材。その複雑な味わいは、食べた人にしかわからないともいわれるくせになる味。お酒、特に日本酒によく合います。

国内屈指のサンマの水揚げ量を誇る気仙沼港。8月に大型サンマ漁船の一斉出港を見送る「出船おくり」は、街の一大イベントで、乗組員の家族や漁業関係者、街の人や観光客までもが、航海の安全と大漁を祈り、見送ります。
サンマ船の水揚げは、9月から11月頃まで。ピカピカと光った新鮮なサンマの水揚げに、港や市場は活気づきます。特に9月に水揚げされるサンマは大型のものが多く、脂ののりも抜群です。

なぜ港町でホルモン？と思うかもしれませんが、実は「気仙沼ホルモン」は昭和30年代頃から気仙沼で親しまれているソウルフード。気仙沼から遠洋漁業に出発し、長い間船上で過ごす漁師の食事は魚が中心。そのため陸に戻ったら肉料理を食べたいのですが、当時の肉は高級品。そこで安くておいしいホルモン焼きを好んで食べるようになったそう。味噌ニンニクで味付けした豚のモツを千切りキャベツに乗せ、ウスターソースをかけて頬張るのが気仙沼流。今では漁師だけでなく地元の人にも愛され、街には多くのホルモン焼き店があります。